大晦日は、おいっこと。

2021.12.31

 

 

私には、姉がいて、

私の姉には、息子がいる。

 

 

つまり私には、

 

「甥っ子」

 

がいる。

 

 

甥っ子は、今、中学1年生。

 

 

 

 

その昔、

私は姉一家と一緒に住んでいたこともあり、

 

 

実は、

過去に宅録で作っていたCDの中に

その甥っ子くんの声が記録されていたりする。

 

私の後ろで

 

「まにゃぁ〜〜!」

 

と謎の言葉を放っている

可愛らしい声である。

 

 

12年程前の事だけど、

古くからのお客様の中には、

(あ、あの子がもう中学生か〜)

なんて思う方もいるかもしれない。

 

 

 

彼は、赤ちゃんの時から

電車が大好きだった。

 

 

そして今でも、

電車が好き。

 

 

2021年の大晦日。

 

 

なんと、

その彼が、「独り」で

電車に乗って

 

 

私の暮らす長野に

遊びに来ると言うのである。

 

 

 

学生も、コロナのおかげで

本来できるはずの合宿やイベントが

中止となったりしていて

かなりのストレスが溜まっているのだそうだ。

そんな中、

 

 

「あぁ、、、田舎の星空が見たい」

 

 

甥っ子くんは、

何度もぼやいていたそうだ。

 

 

そんな話を私は姉から聞いて

「いつでも来なよ」

 

そう言っていた。

 

 

思い返せば、私は、

彼らと

もう何年も会っていなかった。

 

 

いつでも来てよ。

 

 

とは言ってみるものの

本当にくる人はそうそういない。

 

 

このご時世、遠征が許されざる行為のような

異常な感覚すら浸透してきている中、

それは益々「しずらい事」で

 

 

彼らがくるとしても、

何年も先のことになるのだろうな、と

私自身、その想像が

とても遠い未来の図だと思っていた。

 

 

ところが、どっこい。

 

 

甥っ子くんは、来た。

 

本当に目の前に現れた。

 

 

久々だった。

 

 

知っている姿より

倍ほど、大きな背丈。

 

 

「よろしくお願いします。」

 

 

そう深く頭を下げて敬語で挨拶をする。

なんとも礼儀正しい、好青年。

 

その声色も

記憶の中の音とは全く異なる。

太く低い音に変わっていた。

 

 

私の可愛い甥っ子よ、

君は、こんなにも大きくなったのか。

 

 

 

「ヤッホ〜!よく来たね〜!」

 

 

と、

余裕なふりをして声をかける私の心の中では

動揺さんと緊張さんが

変なポーズで踊りながら笑っていた。笑

 

 

でも、すぐに距離は縮まり、

あの頃のような

<マユちゃんと甥っ子>

になっていた。ありがとね。

 

 

私は

久々の「若い子」との会話が嬉しくて、

興味が爆発して

いろいろな質問をしまくってしまった。

 

 

 

自分でいろいろ調べて

東京から始発の電車に乗って

のんびり揺られ揺られて

甲府で一度おりて観光したりして、

駅弁を買ってみたりして、

 

って、

 

 

すごいよね、

そんな自立した中学一年生。

 

感心してしまった。

 

 

そして、

食べそびれた駅弁を私の部屋で頬張り

「美味しい!」と笑う表情が可愛くてね〜。

 

 

 

彼は、電車以外にも、

星、鳥にも深い理解と興味があり、

 

そして、何より嬉しいのが

彼は今、

 

 

「音楽」

 

 

を部活で選んでいるのである。

私とはジャンルが違うけど、

 

吹奏楽部で

フルートを演奏し、

 

自宅では趣味で、

ギター、カリンバを練習しているそうだ。

 

 

大晦日の夜。

 

彼は、吹奏楽のことを色々と教えてくれた。

 

 

大好きなものの話をする

彼の言葉、一つ一つが愛おしくて

 

 

私には、よく分からない話も、

彼が没頭している世界のことが

 

 

通常の何倍にも美しく、

彩りも豊かな世界のようにおもえた。

 

 

 

彼の幸せ満点の笑顔と一緒に、

美味しい宮田村の満天蕎麦や、

和菓子屋(あさひや)さんの生菓子を

年越しに食べて、

 

 

夏秋さんのところで、

たくさんの楽器に触れあう機会を作ったり

 

フルートで私の曲に入ってもらったり

「魔法の音階」の勉強をしたりした。

 

 

そして夜には、彼の大好きな

星を見に

真っ暗闇を、散歩した。

 

 

今夜は、くもり。

 

 

星は、ぼんやりしている。

 

 

でも、

本番は、明日、

 

明日は、快晴になるらしい。

 

 

 

長野の満点の星空を

君に見せてあげたい。

 

 

コロナのことなんか忘れて

 

 

最高の年明けにしようぜ。

 

 

 

 

 

 

心の中で青春モードの自分が

サムズアップして、

まるで漫画の主人公のように

かっこつけていた。

 

 

そんな私の横で

甥っ子くんはスヤスヤ寝息をたてて

気持ちよさそうに眠っている。

 

 

素敵な大晦日だよ。

 

 

 

 

 

 

 

中田真由美