群馬のひととき 〔1日め〕


8月7日 月曜    晴れ曇りからの大雨


さぁ。出発。

私は、よく、その先に何があるのかが分からないまま、信じる人の向く先を信じて出発することがある。きょうは、去年からとてもお世話になっている操り人形師の山本由也さんの主催する企画で歌を歌わせていただけるということで、一緒に群馬県へ連れて行ってもらえることになった。
由也さんの車に相乗りしてスタッフの和美さんと三人で群馬県へむかった。

こういうのは、久々だったから、前夜は楽しみすぎて、また眠れなかった中田。後部座席で一人うとうとしながらも…窓の外の景色がじょじょに変わってゆくのを見ていて、風に吹かれながら、空想しながら。

由也さんのチョイスする音楽は、どれもこれも不思議で美しい音楽で、大きな自然の中にこれから飛び込んでいくのだ。という近い未来と溶け込んで、なんだか壮大なる旅に出ているような気分になった。この時のわたしは勇者もしくはエルフ中田だった。笑

途中、山の下のスーパーで3日分の食材を買って、再び車に乗って山を登っていく。カーブに砂利道、険しい坂、うをぉー!映画のインディージョーンズみたいだな!…などと、わくわくしながら、運転をしないでわたしはお気楽な興奮状態でいたのだけれど、きっと、助手席にいた和美さんも、運転してくださっていた由也さんも、そんなことは知らないだろうと思う。笑
(私は、静かにニヤついていただけだったので、笑)

道に迷ったり色々あったけど無事に到着して、窓の外には、優しそうに笑う男性が、木でできた大きなお家の屋根の上から私たちに手を振っていた。

車から降りると今度は、透明感が半端ない、これまた優しそうな瞳の綺麗な女性が微笑みながらご挨拶しに来てくれた。

( わぁ。これはジブリだ。…と私は思った。笑 )

はじめてお目見えしたお家(お宿)のご主人はりがやさんと奥さんのあさこさんは、あたたかくて、一瞬で私の心はひらいていた。気づかなかったのだれども、ひらけていた。木で出来たお家の中に入ると、中には、見たことの無い楽器がたっくさん、たっくさんあって。すごくドキドキ。明日には、また何名かの音楽家さんたちが集合すると聴いていたので、未知なる世界が待っている気がしたのでした。

そして、あさこさんは、冷たいお茶を出しておもてなししてくださり、私たち三人はひと息ついて。実はもう一人来るのだということで、その人を待った。

私たちが到着した頃、ちょうどそのタイミングでパラパラと雨が降り出したので、色々心配があった。
大きな台風も近づいてきているというお話もあったし、、、雨が降ると道が車では登りずらくなるから大変だということで。
でも、雨はそこまで強くならず、しばらくすると、もう一人のお方が到着。
車から出てきたその人は、私が去年、由也さんと東中野ポレポレ坐でライブをした後の打ち上げで同じテーブルに座っておられて少しだけお話したことのあった夏秋文彦さんだった。

夏秋さんというお方は、その時もそうだったけれど、きょうも、ニコニコと健やかな笑顔でずーっとおられる。どこかありがたい気持ちになるような印象で、わたしのこと覚えているか分からなかったけれど、ご挨拶しに近寄ると彼はこう言ってくれた。

「お久しぶりです。」

わー、覚えていてくださったのですね。嬉しかったのです。握手をして、ご挨拶。そうして、またみんなで木のお家へ入り荷物を運び入れた。

間も無く、由也さんが「夏秋さんが来たから早速お酒を空けましょう!」と言ってみんなに合図を出した。まだ15:00。でも、みんなも待ってましたと言わんばかりに、そーれ!と、自然とはじまったのでありました。

わたしも、はりがやさん、あさこさん、由也さん、和美さん、夏秋さんと一緒にテーブルを囲んでお酒をチビチビいただきながら、おつまみもモグモグモグ。

外の雨はどんどん強くなっていく!と思ったら弱くなったり、ゴロゴロ言ったり、山の天気は、すごく変化していたけれど、最終的に、お腹いっぱいになる頃には、大雨が降っていた。

でも、なんだか私たちは楽しくお話をしながら、とにかくすごぉく素敵な会話や笑顔がたくさんあって。わたしも自然と優しくて楽しくて、素晴らしく開放された気持ちになった。みんな素敵だなぁ。と思った。

それから、はりがやさんがオリジナルで作ったと言う「ゆう琴」という楽器を奏ではじめ。その音の美しさに、うっとりさせられてしまった。はりがやさんは、本当に凄い人で、木のお家も、楽器も畑も、全部自分で0から作ったと言っていた。それに、その楽器演奏も素晴らしい。

「みんなは、自分ではできないと決めつけているだけで、案外できるものだったりするんだよ。家だって買うものじゃなくて、作るものでもあるんだよ。やってみたらいいんだね。」って教えてくださったはりがやさん。どんな話をするときも、始終穏やかで笑顔。ほんと、言葉がスーッと染みてきて勉強になります。

たくさんお話をしながら、由也さんが、「まゆみちゃん、ここでレコーディングしたら?はりがやさんは、エンジニアもしてるんだよ。」と教えてくださったのですが、その発言から、まさかその夜、レコーディングしてもらえることになるだなんて、思ってもみなかったです。

「さぁ、まゆみちゃん歌ってよ。」と由也さんが言うと、はりがやさんはレコーディング機材を準備してくださり。マイクの前に座り、みんなが観客になってくれて、わたしは由也さんのリクエストに応えていくつかの楽曲を歌っていった。

そして夏秋さんも楽器を弾いてくれて、二人でへんてこセッションみたいなことも出来たりして。その後は、夏秋さんの素晴らしいコンツォフカという楽器演奏を聴くことができちゃったのでした。

夏秋さんは、たくさんの楽器を自由自在に操っていくので、わたしはたまげました。
大正琴や、ゆう琴や、口琴や、コンツォフカ、様々な楽器を演奏して、その音の愉快さを共有してくださったのでした。はじめてお会いした時に只者ではない感じが漂っていたので、ありょーこういうことだったのかぁ、納得です!という感じで、色々としっくりといきました。

色々たのしませていただいたのですが、わたしはその後、お風呂に入って上がって暫くしたら、いつの間にか、眠ってしまっていました。笑

ぅぅ〜! なんとも素敵な夜でした。


                                               つづく